はじめに
「うちの子、自信がないみたいで心配です」
「もっと自己肯定感を育ててあげたいんですが…」
そんなお悩みを、親御さんからよく聞きます。
でも実は、子どもの自己肯定感を育てるために欠かせないのは、親自身の自己肯定感なのです。
この記事では、親の自己肯定感がどのように子どもに影響するのか、そして親として自分の自己肯定感を上げるために今からできることについて、心理学の視点も交えつつ、わかりやすくお伝えしていきます。
自己肯定感とは何か?
まず、自己肯定感とは「自分はありのままで大丈夫だ(I’m OK)」と思える感覚のことです。
成果や評価に関係なく、「存在そのものに価値がある」と感じられる心の土台です。
この感覚が育っていると、
他人と比較したり、自分を過大評価したり、過小評価したり、することなく等身大の自分で豊かに生きることができます。
しかし、逆に自己肯定感が低いと、
✔️失敗を極度に恐れる
✔️他人と自分を比べて落ち込みやすい
✔️承認を求めすぎて疲れてしまう
などの状態に陥りやすくなります。
これは子どもだけでなく、大人でも同じです。
あなたはどうでしょうか?
自己肯定感は家庭で育つ
自己肯定感は、家庭という「一番安全で安心できる場所」で、日々のやりとりを通して育まれます。
たとえば、子どもが何かに失敗したとき、
「どうしてこんなこともできないの?」
「そんなこと気にしないで、次頑張ればいいよ」
「やってみたことがすごいね。どんな気持ちだった?」
と、親がどんな言葉をかけるかで、子どもが自分をどう捉えるかが変わります。
では、なぜ同じ事象なのに、親によって声のかけ方が違ってくるのでしょうか?
その大きな理由は、「親がどんな自己認識を持っているか」ということなのです。
親の自己認識がプラス(自己肯定感が高い)場合は、子どもに対してもポジティブになり、
自己認識がマイナス(自己肯定感が低い)場合には、無意識に子どもに対してもキツくなってしまうのです。
つまり、子どもへの接し方は、「自分自身との関係を映し出す鏡」といえるのです。
自己肯定感は世代間で連鎖する?
心理学者カール・ロジャーズは、人が健やかに成長するためには「無条件の肯定的関心」が必要だと述べました。
つまり、「何ができるか」ではなく、「あなたはそのままで価値がある」と伝えることが、心の安定を生み出す鍵なのです。
しかし、親自身が「自分は価値がない」と感じ、「ありのままの自分」を否定していると、
必然的に、子どもの「ありのまま」を受け入れることが難しくなります。
結果、子ども自身も「自分は価値がない」と感じるようになるのです。
たとえば、
• 「ちゃんとしないとダメ」
• 「人に迷惑をかけちゃいけない」
• 「失敗したら笑われる」
といった禁止令的な価値観が親自身に根強く残っていると、子どもにも同じメッセージが送られることになるのです。
これは、「条件つきの愛情」とも呼ばれ、「こうすれば認める」という態度です。
この環境では、子どもは安心して自分を表現することができません。(等身大の自分でいられない)
ここで、お気づきかもしれませんが、もしあなた自身が自己肯定感が低い・・・と感じられている場合は、あなたの親も自己肯定感が低かった可能性が高いわけなのです。そしてそのまた親も・・・。
つまり、あなたが自己肯定感が低いのは生まれつきではなく、育ってきた環境によって、「自分はダメだ」と思い込まされてきただけなのです。
自己肯定感が低いのは、「全てあなたに責任」というわけではないのですね。
ただ、ここで大切になるのは、この負の連鎖をどこかで打ち切らないといけないということです。
では、どうしたらこの負の連鎖を断ち切ることができるのでしょうか?
自己肯定感が低い親も、変われる
ここまで読んで、「私は自己肯定感が高くないかも…」「我が子にも影響を及ぼしているかも」と落ち込まれた方もいるかもしれません。
でも、大丈夫です。自己肯定感は「育て直す」ことができます。
そして、子どもへの負の連鎖を断ち切ることができるのです。
以下に、日常生活でできる自己肯定感を育てる5つの実践を紹介します。
1. 自分の感情に気づく
「今日、私は何を感じていた?」
「本当はどうしたかった?」
と、自分の心の声をキャッチする習慣を持ちましょう。
これは自己理解の第一歩であり、自己肯定感を育てる土台です。
2. 自分に優しい言葉をかける
例え、他者には優しくできても、自分には「なんでできないの?」と責めていませんか?
「よく頑張ってるね」「今日は疲れてるよね」と、「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」の言葉を持ちましょう。
3. 完璧を目指さない
「ちゃんとしなきゃ」「ミスは許されない」と思い込んでいると、自己肯定感は下がります。
ミスしてもいい、できない日があってもいいという前提を意識して、自分に許しをあげましょう。
4. 小さな成功を意識する
「今日、夕飯ちゃんと作った」
「子どもに笑顔で返せた」
どんな小さなことでも「できたことリスト」としてメモに残しておくと、自己評価が自然と高まります。
5. 誰かに頼る・話す
自分のことを話せる人、共感してくれる人の存在はとても大きいです。
完璧なアドバイスをくれる人ではなく、「あなたのままでいいよ」と言ってくれる人に出会うことが、自己肯定感の回復を早めてくれます。
どれか一つでも構いません、「できそう」と感じたものを日常の中に取り入れていってくださいね。
おわりに:自己肯定感は一緒に育てていくもの
親の自己肯定感は、子どもの心の基盤をつくります。
でもそれは、「親が完璧でなければならない」という意味ではありません。
むしろ、「親も人間だから迷うし、落ち込むこともある。でも、そんな自分でも大丈夫」と思えること。
その姿を見せることこそが、子どもにとって最大の安心につながるのです。
あなたの“ありのまま”の存在が、すでに子どもの心の土台をつくっています。
今日から少しずつ、自分にも子どもにも優しいまなざしを向けてみてくださいね。
まとめ
• 自己肯定感は「自分はこのままで大丈夫」と思える感覚
• 親の自己肯定感は言葉や態度を通じて子どもに伝わる
• 自己受容とセルフケアから、親の自己肯定感も育てられる
• 完璧じゃなくていい。「大丈夫」と思える気持ちが親子の心を育てる
さぁ、今日から自分の自己肯定感を大切に育んでみませんか?
きっと、それが一番の子どもへのプレゼントになります!
応援しています!